花も実もある楽しい読書

外資系父ちゃんがおすすめする50冊

「超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版」 名言が身近にせまる本

 ニーチェは19世紀後半に「ツァラトゥストラはかく語りき」など多くの著作を残したドイツ人哲学者。そう世界史で習ったものの詳しくは知りませんでした。白取春彦氏が「今生きている人の哲学」という彼の著作から、現代人のためになる警句を超訳、厳選した本書は、鋭く、そして身近に、私たちに考えるキッカケを与えてくれます。全10章、190の言葉の中から、特に気になった章と言葉を紹介します。

己について

 自信の持ちすぎも良くないですが、実は謙遜しすぎも大問題。人間は、前のめりでも、後ろに傾きすぎても、ぐらついてしまう。身体も心も、重心を真ん中に置いておくと、一番自由に飛び回れる。最近そう思っていますが、自分を大切にする、尊敬する事が大事だと、ニーチェは言っています。

初めの一歩は自分への尊敬から
 自分はたいしたことがない人間だなんて思ってはならない。それは、自分の行動や考え方をがんじがらめに縛ってしまうようなことだからだ。
 そうではなく、最初に自分を尊敬することから始めよう。まだ何もしていない自分を、まだ実績のない自分を、人間として尊敬するんだ。
 自分を尊敬すれば、悪いことなんてできなくなる。人間として軽蔑されるような行為をしなくなるものだ。
 そういうふうに生き方が変わって、理想に近い自分、他の人も見習いたくなるような人間になっていくことができる。
 それは自分の可能性を大きく開拓し、それをなしとげるにふさわしい力を与えることになる。自分の人生をまっとうさせるために、まずは自分を尊敬しよう。
「力への意志」

 ストレスがたまった時はどうしていますか?私はよくお酒を飲みます。発散はできますが、太ったりお腹をこわしたり、体にはあまり良くないですね。ニーチェは「寝ろ!」と。

疲れたらたっぷり眠れ
 自己嫌悪におちいったとき、何もかも面倒でいやになったとき、何をしてもくたびれて仕方ないとき、元気を取り戻すためには何をすべきだろう。
 ギャンブル?宗教? 流行のリラックス療法?ビタミン剤?旅行?飲酒?そんなことよりも、食事をして休んでからたっぷりと眠るのが一番だ。しかも、いつもよりずっと多くだ。
 目覚めたとき、新しい力が漲る別の自分になっているだろう。
「漂泊者とその影」

 機嫌よく生きるコツ。すごく知りたいし、自分の大事な人たちには知ってて欲しい。ニーチェの言う点は、実践も出来るし、自分の大事な人たちに、そう思ってもらうために出来ることもあるはず。

いつも機嫌よく生きるコツ
 不機嫌になる大きな理由の一つは、自分のなしたこと、自分の産んだことが人の役に立っていないと感じることだ。
 だから、不機嫌な老人がいる。一方で輝く青春の真っ只中にいる若い人たちが不機嫌なのは、自分が社会の中で生産的な存在になることがまだなかなか難しいからでもある。
 したがって、いつも機嫌よく生きていくコツは、人の助けになるか、誰かの役に立つことだ。そのことで自分という存在の意味が実感されこれが純粋な喜びになる。
「人間的な、あまりに人間的な」

 自分を知るには。自分が何に夢中になり、大事に思ってきたかをよく考えること。「ソース」の答えは、ニーチェが先に見つけていたのか。

自分自身を見つけたい人に
 自分がどういう者であるか理解したい人は、次のような問いを自分に向け、真摯に答えてみればいい。
 これまで自分が真実に愛したものは何であったか? 自分の魂を高みに上げたものが何であったか? 何が自分の心を満たし喜ばせたか?これまでにどういうものに自分は夢中になったか?
 これらの問いに答えたとき、自分の本質が明らかになるだろう。それがあなた自身だ。
「ショーペンハウアー」

喜について

 こうやって生きていくことが、よりよい人生を送る秘訣だ。

喜び方がまだ足りない
 もっと喜ぼう。ちょっといいことがあっただけでも、うんと喜ぼう。喜ぶことは気持ちいいし、体の免疫力だって上がる。
 恥ずかしがらず、我慢せず、遠慮せず、喜ぼう。笑おう。にこにこしよう。素直な気持ちになって、子供のように喜ぼう。
 喜べば、くだらないことを忘れることができる。他人への嫌悪や憎しみも薄くなっていく。周囲の人々も嬉しくなるほどに喜ぼう。
 喜ぼう。この人生、もっと喜ぼう。喜び、嬉しがって生きよう。
「ツァラトゥストラはかく語りき」

 よりよい一日を送るTIPS。

朝起きたら考えること
 一日をよいスタートで始めたいと思うなら、目覚めたときに、この一日のあいだに少なくとも一人の人に、少なくとも一つの喜びを与えてあげられないだろうかと思案することだ。
 その喜びは、ささやかなものでもかまわない。そうして、なんとかこの考えが実現するように努めて一日を送ることだ。
 この習慣を多くの人が身につければ、自分だけが得をしたいという祈りよりも、ずっと早く世の中を変えていくことだろう。
「人間的な、あまりに人間的な」

 自分の大事な人たちと、よい人生を送れる。

人を喜ばせると自分も喜べる
 誰かを喜ばせることは、自分をも喜びでいっぱいにする。
 どんなに小さな事柄でも人を喜ばせることができると、わたしたちの両手も心も喜びでいっぱいになるのだ。
「曙光」

 もう一回繰り返し。

心にはいつも喜びを
 利口であれ。そして、心に喜びを抱け。
 できるならば、賢明でもあれ。
 そして心には、いつも喜びを抱いているように。
 これが人生で最もたいせつなことなのだから。
「漂泊者とその影」

 イヤなことはもちろんある。でも自分のために、周りのみんなのためにも、この瞬間に楽しいことがあったら、ちゃんと楽しもう。

この瞬間を楽しもう
 楽しまないというのはよくないことだ。つらいことからいったん目をそむけてでも、今をちゃんと楽しむべきだ。
 たとえば、家庭の中に楽しまない人がたった一人いるだけで、誰かが鬱々としているだけで、家庭はどんよりと暗く不快な場所になってしまう。
 もちろん、グループや組織においても同じようになるものだ。
 できるだけ幸福に生きよう。そのためにも、とりあえず今は楽しもう。素直に笑い、この瞬間を全身で楽しんでおこう。
「悦ばしき知識」

生について

 全ての経験を、漫然としたインプットに終わらせずに、自分の中で咀嚼して、アウトプットに変える。濃い経験をしていこう。

人生を最高に旅せよ
 知らない土地で漫然と行程を消化することだけが旅行だと考える人がいる。買い物だけをして帰ってくるのが旅行だと思っている人もいる。
 旅行先のエキゾチックさを眺めるのをおもしろがる旅行者もいる。旅行先での出会いや体験を楽しみにする旅行者もいる。一方、旅行先での観察
や体験をそのままにせず、これからの自分の仕事や生活の中に生かして豊かになっていく人もいる。
 人生という旅路においてもそれは同じだ。そのつどそのつどの体験や見聞をそのとき限りの記念品にしてしまえば、実人生は決まりきった事柄のくり返しになってしまう。
 そうではなく、何事も明日からの毎日に活用し、自分を常に切り開いていく姿勢を持つことが、この人生を最高に旅することになるのだ。
「漂泊者とその影」

 言い訳より、断言。

断言すると賛同してくれる
 多くの人々を納得させたり、彼らになんらかの効果を及ぼしたいのなら、物事を断言すればいい。
 自分の意見の正当性を、あれやこれや論じてもだめだ。そういうことをすると、かえって多くの人々は不信を抱くようになるのだ。
 自分の意見を通したいなら、まずは断言することだ。
「さまざまな意見と箴言」

 イヤなことがあったら、目の前の仕事、作業に没頭する。いつのまにか頭が冷えてて、さらに仕事が進んでる、っていうボーナスまで!

職業がくれる一つの恵み
 自分の職業に専念することは、よけいな事柄を考えないようにさせてくれるものだ。その意味で、職業を持っていることは、一つの大きな恵みとなる。
 人生や生活上の憂いに襲われたとき、慣れた職業に没頭することによって、現実問題がもたらす圧迫や心配事からそっぽを向いて引きこもることができる。
 苦しいなら、逃げてもかまわないのだ。戦い続けて苦しんだからといって、それに見合うように事情が好転するとは限らない。自分の心をいじめすぎてはいけない。自分に与えられた職業に没頭することで心配事から逃げているうちに、きっと何かが変わってくる。
「人間的な、あまりに人間的な」

 暮らしの様々な部分に気を遣い、自分で丁寧にデザインする。大いなる権利であり楽しみであり大事なこと。

生活をデザインする
 快適に美しく生きたいと願うのなら、そのコツは芸術家の技術が教えてくれる。たとえば画家は物の配置に気を遣う。わざと遠くに置いたり、斜めからのみ見えるようにしたり、夕焼けが反射するようにしたり、影が効果的になったりするようにする。
 これと似たことを生活の中でわたしたちはしている。インテリアの配置だ。使い勝手だけを考えて家具を置くわけではない。美しく生活できるように工夫をこらす。そうでないと、雑多でめちゃくちゃな空間の中で暮らさなければならなくなるからだ。
 同じようにわたしたちは、生活の諸々の事柄や人間関係を自分の好きなようにデザインしてよいのだ。
「悦ばしき知識」

 仕事は稼ぐためであり、ビジネスは持続的に利益を生み出すこと。でもそれだけではないよね。過程を無視するなら、それは人生の無駄遣いかもしれません。

目標にとらわれすぎて人生を失うな
 山登りをする。たゆまず、獣のように。汗にまみれ、一心不乱に頂上を目指す。途中にいくつもの美しい眺望があるのに、ただ次の高みへと登っていくことしか知らない。あるいはまた、旅行であってもいつもの仕事であっても、一つの事柄だけに耽って他はすっかり忘れてしまう。そういう愚かなことが、しばしばなされている。
 たとえば仕事の場合では、売り上げを伸ばすことだけがたった一つのなすべき目的のように錯覚してしまったりする。しかしそうすることで、仕事をすることの意味は失われてしまう。
 けれども、このような愚かな行為はいつもくり返されている。心の余裕をなくし、合理的に行動することを重要とみなし、その観点からのみ人間的な事柄までをも無駄とみなして、結局は自分の人生そのものを失ってしまうようなことが頻繁に起きているのだ。
「漂泊者とその影」

心について

 クリエイティビティが大事、とよく言われる時代です。昔からそうなんですね。誰でも持ち得ると言ってくれます。

軽やかな心を持つ
 何か創造的な事柄にあたるときにはもちろん、いつもの仕事をする場合でも、軽やかな心を持っているとうまくいく。それはのびのびと飛翔する心、つまらない制限などかえりみない自由な心だ。
 生まれつきのこの心を萎縮させずに保っているのが望ましい。そうすれば、さまざまなことが軽々とできる人になれるだろう。
 しかし、そんな軽やかな心を持っていないと自覚しているなら、多くの知識に触れたり、多くの芸術に触れるようにしよう。すると、わたしたちの心は徐々に軽やかさを持つようになっていくからだ。
「人間的な、あまりに人間的な」

 「EQ2.0」にも通じます。

反対する人の心理
 提示されたある案に対して反対するとき、よく考え抜いたうえで確固とした根拠があって反対する人はごく少ない。
 多くの人は、その案や意見が述べられたときの調子とか言い方、言った人の性格や雰囲気に対して反発の気分があるから、反対するのだ。
 このことがわかれば、多くの人を味方にできる方法が何かがおのずと知れてくる。
 表現の方法、説得の仕方、物言いの工夫という技術的なものも確かにあるだろうけれども、それらの上には、技術では及ばないもの、つまり、意見を述べる人の性格や容姿、人柄、生活態度などがあるということだ。
「人間的な、あまりに人間的な」

 疲れたら、食って寝る。再び。

疲れたと感じたら、考えない、思わない
 いつものように毅然としていられなくなったら、疲れている証拠だ。疲れていると、わたしたちは溜め息をつき、愚痴を口にし、後悔を口にし、ぐるぐると似たようなことを考え、そのうち憂鬱なことや暗いことが頭の中を勝手に動き回るようになる。
 それは毒を吸うようなことだから、疲れたと感じたら、考えることをやめ、休んだり寝たりするに限る。そして、また毅然として活動できるように明日に向かって備えよう。
「悦ばしき知識」

 感情をコントロール出来れば、自由になれる。

精神の自由をつかむためには
 本当に自由になりたければ、自分の感情をなんとか縛りつけて勝手に動かないようにしておく必要がある。
 感情を野放しにしておくと、そのつどの感情が自分を振り回し、あるいは感情的な一方向にのみ顔と頭を向けさせ、結局は自分を不自由にしてしまうからだ。
 精神的に自由であり、自在に考えることができる人はみな、このことをよく知って実践している。
「善悪の彼岸」

超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版

超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版

  • 作者: 白取春彦
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2015/11/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ちひろさん」しんどい時に、ホッとさせてくれるマンガ

 お弁当屋さんのアルバイト店員ちひろさんと、街の人々のふれあいや暮らしをほんわか描いたお話。

 元風俗嬢とあけっぴろげに語り、いつもはのんびり、時々クールに活躍するちひろさん。ユニークなシニア揃いのお弁当屋さん。上辺の友人関係、家族関係に疑問を持つ女子高生。さみしさから周囲にあたりまくる少年。何度も裏切られる美人のおかまさんなど、個性的な登場人物たち。

 みんな何かしらの生きづらさを抱えつつ、ちひろさんと触れ合う中で、前に進んでいきます。すごくしんどくなった時に、そのままでいい、逃げたっていい、自分を大事に、生きたらいい。そう思わせて、気持ちを少しラクにさせてくれる、素敵なお話です。

ちひろさん 1 (A.L.C. DX)

ちひろさん 1 (A.L.C. DX)

 

 

「1440分の使い方 成功者たちの時間管理15の秘訣」読後の実践ポイント

  Amazonプライムの読み放題対象、キンドルだと格安で購入もできる本ですが、1440分(24時間)を有効に使うためにまとめられた15のTIPSのうち、いくつかはすごく響くかもしれません。「自分にとっての重要事項を見極める」、「朝のゴールデンタイムを活用する」など、多くは至極真っ当なTIPSで、逆に言うと基本的ゆえ、徹底しようと思ったら心底自分を変えたいっていう強い気持ちが欠かせません。

 一方で下記3つは、個人的に新たな気づきでしたし、特に1番目は実践しやすく有効です。

1.To Do リストをやめてスケジュール表に入れる

 まず大いに納得したのは、To Do リストの問題点という指摘。数分しかかからない項目と1時間以上かかる項目が混在しているので、見返したときに、つい簡単な項目から手を付けてしまう。優先順位と関係なく、項目を減らせたことで空虚な満足感を得てしまう。大切だけど困難な項目、面倒な項目はいつまでも減らずにストレスになる。

 それより、リストすべきタスクが出てきたら、スケジュール表、私の場合はOutlookですが、そこに書き込む。Outlookのカレンダーには会社の会議スケジュールがどんどん入ってきますが、自分にとって優先すべきタスク用に、やるべきタイミングに必要なだけの時間を、先にブロックする。これは簡単かつ非常に効果的でした。

 タスクはToDoリストではなくスケジュール表に入れる。なんと、たったこれだけのことで心が解き放たれ、ストレスが減り、認知能力が高まる。フロリダ州立大学の研究によれば、ツァイガルニク効果(未完了のタスクによって意識的・無意識的に悩まされる現象)は、タスクを達成するための予定を立てるだけで克服できるという。実際にタスクそのものを終わらせる必要はないのだ。

 重要なことはすべて、やる時間を決め、スケジュール表に入れておく。 この手法は「タイムブロッキング」もしくは「タイムボクシング」と呼ばれている。たとえば、健康を心から重んじ、そのために毎日30分のトレーニングをしようと決めたなら、ToDoリストではなく、スケジュール表にそれを記入しよう。事業戦略として、顧客との親密度を高めることが重要だと考え、そのために一日に少なくとも2人の顧客と会話すると決めたなら、「顧客訪問」を日々の予定に組み入れよう。

重要な項目には一日のうちできるだけ早い時間帯を割り当てる。どんなに時間とスケジュールをコントロールしようとしても、放っておけない問題が「降って湧く」ことは誰にだってある。上司から会議に呼ばれたり、顧客からクレームの電話がかかってきたり、保健室の先生から電話がかかってきて息子を迎えに来るよう言われたり。当然、一日の時間が過ぎるにつれ、想定外の事態が発生する確率が上がる。 私自身、この問題にはひどく悩まされている。日課のトレーニングを午後遅い時間や夜に入れておくとたいてい、実際にトレーニングの時間になるまでの間に、特別に対処しなくてはならない他の優先事項が出てくるのだ。私の場合は基本的に、朝ランニングマシンに乗らなければ、ランニングをする確率はどんどん下がると心得ている。

 

2.メールに振り回されない

  メールニュース解除、メール通知オフ等の基本的なことに加え、下記TIPSは面白いです。

  • 3210方式。メール処理は1日3回(朝・昼・晩)だけ、21分以内に受信箱のメールを0に。ゲーム感覚で、早く短く処理することにトライ。
  • 4D方式:メールを開くたびに即座にいずれかをする。今やる(Do)、人に任せる(Delegate)、あとでやる(Defer)、削除する(Delete or アーカイブ)。あとでやる=スケジュール表に入れる。
  • CCを減らす。送信を減らせば受信も減る。みんなの時間も増やせる。
  • 件名を活用する。単に返信、転送するのでもなく、件名にアクションの種類も入れると、受信者側のメール処理もスムーズになる。
  • メールは常に短く、ごくごく短く。短いことは無礼ではなく、お互いの時間を尊重している証拠。気持ちを伝えたければ「!」をつけるだけもいい。

3.「ノー」という一言で楽になる

  自分のやりたいことに対して積極的に「YES!」と言い、あまり気が進まないことには試しに「NO」と言ってみる。私も嫌われるのはイヤと思うタイプの人間で、頼まれたら断りづらいと感じます。でも、たった一言で未来のスケジュールの空きを確保できる魔法の呪文でもあるのです。

一点集中とは「ノー」と言うことだ(スティーブ・ジョブス)

成功した人と大成功した人の違いは何か。大成功した人は、ほぼすべてのことに「ノー」と言う(ウォーレン・バフェット)

時間をくれという依頼を日常的に断っている人のほうが、自己申告による幸福感と気力が高い(The Cruse Groupによる2015年の研究より)

 いつでもノーと言え、ということではありません。ただ、イエスのひとつひとつが、時が来れば、他のもの(他のアクション、他の優先順位、他のお願い、他の楽しみ)へのノーに変わることを理解しましょう。

 ちなみに本書内ではノーという参考例も紹介されています。

1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣

1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣

 

 

「稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである」葦原一正

 Bリーグ初代事務局長の著者が、豊富なスポーツビジネスの知識とBリーグ設立の経験を踏まえ、成功するビジネスモデルのポイントをまとめた本。サラリーマンとしては、下記の3点が参考になりました。

1.新ビジネスの機会検討、計画立案時の留意点

機会は「顕在性」でなく「潜在性」で見極め

バスケは実は世界一競技人口の多いスポーツで、国内の競技登録者はサッカーに次ぐ60万人以上。サッカーの競技者登録人口のうち男性が97%(2017年度) であるのに対して、バスケは男女比が均等であるという要素は大きなアドバンテージである。

また若年層がバスケに対して興味を抱いているのは極めて大きな特徴である。B.LEAGUEが2015年に行った調査で、観戦したいスポーツは何かと聞いたところ、10代から30代でバスケは上位を占めた。とくに10代女性は1位の野球とほぼ同ポイントで、人気の高さ、そしてポテンシャルの高さを感じる。来場者の高齢化が進む野球、サッカーとは大きく特徴が異なる。

しかも、野球やサッカーとは開催されるシーズンがずれており、また2時間できっちり試合が終わるので、放映権が売りやすいといった、 直接ビジネスにつながるような強みもあった。

まず短期的なKPIと中長期的な重要テーマを設定

第一号社員として入社した私は、会社のルール策定をはじめ、人事採用、事業戦略作りなど目まぐるしい日々を送っていた。当時のB.LEAGUEのチェアマン(理事長)は、川淵三郎氏。私の上司になる。また、協会の事務総長として、大河正明氏(現・B.LEAGUEチェアマン)がいて、三位一体で立ち上げを進めていた。基本は川淵さんが策定した「新リーグ構想」に基づき、協会、リーグ一体となって準備を進めていくが、事務局長である私へのオーダーは1つだけ。「開幕初年度は20億円を作れ」と、それだけだった。

唯一のオーダーを受けた後、第1回目の川淵さんとのミーティングが行われた。2015年7月15日。私が入社して約1カ月後のことだった。

私は会社の軸となるふたつの方向性をアジェンダとして提出した。

① 2016年の売上目標20億円、入場者数目標200万人

② 事業のキーワードは「権益統合」&「デジタルマーケティング」 

2.権益統合でビジネスインパクト最大化

約20年前は、日本のプロ野球と同程度である1500億円規模だったMLBは、年々成長を遂げ、今や1兆円規模のビジネスになっている。

半面、国内ではうまくいっているように見える野球は、事業規模で考えたら1800億円程度で頭打ち。そのほかの競技は、ほとんど収益化できていないのが現状である。

ここまで日米の差が開いた一番の要因はリーグガバナンスが図れていないからである。MLBも昔は今の日本と同じようにリーグでなく、実質的に各チームに大半の権限があった。それが、今から24年前に球団側が、チームの総年俸に上限を定めるサラリーキャップ制度を導入しようとしたところ、選手会側がこれに反発し、1994年から1995年まで232日間にわたってストライキが起きた。このことがキッカケとなりリーグを中心とした組織体制へ変更した。入場者数はさほど大きく変動していないなか、リーグに機能と権限を集約することでコストカットが図れ、ビジネス的にも売上を拡大し続けることができるのだ。たとえば各チームで作っていたwebサイトも、リーグ主導でデザインフォーマットを統一。共通化することでコストカットが図れ、ユーザーの利便性も向上する。またTV放映権の販売に関しても、従来は30の球団が各々で販売していたものをその権利をリーグに集約。このことで、必然的に販売価格が上昇し、価値が最大化した。つまり、リーグとクラブとの連携がとれていれば、その団体の市場規模やポテンシャルが高くなるのだ。またITの整備やコストといった点でも、一括管理すれば、クラブにかかる負荷も少なくなる。つまりリーグがビジネス全体を統括し、市場活性の戦略を立案していることが大きな要因だと私は見ている。

そこからさらに一歩進み、リーグとクラブ、そして協会とも権益を統合しているのがアメリカのプロサッカーリーグのMLSである。協会管轄の代表チームのスポンサーとリーグのスポンサーをまとめて販売することで、3年で3-5倍にも利益を拡大。放映権も同様、代表とリーグのセット販売で3年で5倍になったと聞いたことがある。このように、協会とリーグが一体となってビジネスをしていくことで、市場規模は大きくなっていくのだ。 

3.顧客データ統合と各種サービスのデジタル化

顧客ID統合でCRMと統一サービスを実現

野球やサッカーでは、観戦者やファンクラブの情報はすべて個別のチームに集約されている。チームによってはさらにチケット購入情報やファンクラブ入会情報など顧客行動ごとにバラバラになっているケースもある。そのため、Aチームのファンクラブに加入して、1F指定席を買って、アリーナに行く前にタオルマフラーを買って、来場してからスタジアムグルメとビールを買う、といった顧客の一連の行動がわからない。その方が他のチームのチケットを買っているのか?ということもわからない。つまりCRMの活用ができていない。

B.LEAGUEでは、その先を考えたときに、そのデータの持ち方では意味をなさないと考え、リーグ統合データベースとして一元化した。 つまり、顧客データは各クラブではなく、リーグが管理する方式である。その結果、お客様にとっては、1つのログインIDで、B.LEAGUE B1・B2全36クラブのあらゆるサービスが利用できるようになる。

 データの持ち方は4つ。

 1【チケット】チケットを買った人

 2【ファンクラブ】ファンクラブに入会している人

 3【EC】クラブのwebサイトでグッズを買った人

 4【来場者】アリーナに来場した人

 こうしたデータの活用で、来場回数などに応じてインセンティブを作り、さらなる来場を募るなど、BtoC活性化のための設計がしやすいという利点がある。データを見れば、どんな層にどのようにアプローチすればよいのかの戦略も立てやすくなる。

データ活用チームはハイブリッド型で

 著者がデータ活用の点で参考にしている組織が、NBAのコンサルティングチーム。彼らがうまくいっているのは、データを使いこなす人と現場を知っている人のハイブリッド型組織にしたこと。

当初はMBAホルダーなど分析のプロだけを集めていたそうだが、現場の経験を通して仮説を出しているわけではなかったため、分析して出てくる答えが地に足がついていないようなものになっていたそうだ。 そこでNBAは、各クラブの現場で働いていた人たちを組織に入れることにし、徹底的にボトムアップで分析を進めたが、それもうまくレポートがまとめきれず失敗。今は、現場経験のある人と優秀な分析力をもった人をハイブリッドにすることで、効果的な分析と施策の立案を実現できるようになっていったとのこと。 

権益の統合は、データも。

さきほどの統合DBをリーグだけでなく協会にもつなげていこうと思っている。日本代表なら日本代表戦、もしくはウインターカップといわれる高校バスケ、アマチュアもすべてプラットフォームを統一し、競技者データベースとも連携することも視野に入れて準備を進めている。これは世界的にみても初めての取り組みだと思うが、「共通バスケID」で競技者やバスケファンを紐付けていきたい。今まで野球・サッカー界では「スポーツをやっている人と観ている人は、ターゲットは別」ということを言っていた。 データを見ていても実際そうだった。野球界に従事していたころに、外野スタンド、ライトスタンドに行って「高校球児だった人、いますか?」と聞くと、ほとんどいなかった。B.LEAGUEでは、スポーツをやっている人はいずれプロの試合も観に来てほしいと考えている。観る人と競技する人との好循環をいかに作っていくかが、スポーツコンテンツホルダーとしての使命だと思っている。競技者と観戦者データを同じDBに入れることで、そういった分析もできるのではないかと楽しみにしている。 

新規トライアルの本質を見抜いて対応

来場のキッカケは「誘われたから」

今まで1回も来ないで、はじめて来たお客様に「なぜ来場したのか?」というデプス調査を実施したところ、全員が最終的に「誘われたから」との回答だった。皆さんからすると、一見、当たり前の答えかもしれないが、私にとっては衝撃だった。従来、そのようなスーパーライト層に対して、どの沿線に住んでいて、どんな媒体だと目に留まるかを分析してプロモーション活動をしていた。しかし、それは全く無意味だとわかった。来場する理由として、最初は**選手が好きとか、**のフードが気になっていたと答えていたが、深く突っ込んでいくと、結局は、会社、家族、友人から誘われて来場していたのだ。ライトなファン層を取り込むためのマーケティングを行うことで、新たなファンの拡大を図るのが一般的だが、私たちはライトファンの属性分析を続けていくうちに、コアファンが「誰を誘いたくなるか」「どういう情報を伝えれば誘おうと思うのか」というメカニズムを解釈することのほうが大切だと気づかされたのだ。

つまり、ライトをターゲットにする際、ライトファン分析よりコアファン分析のほうが重要ということになる。コアなファンに試合を観てもらい、その後、周囲の人たちを誘って再び会場に足を運んでもらうという流れにするために、SNSなどライトファン向けのデザインも大切だが、コアファンが気楽にチケットを同時に多く買えて、一緒に行きたい人とシェアできる、といったような「誘いやすい」UI/UX設計をB.LEAGUE全体で意識している。 

とはいえデジタルは目標達成のツール

私は、スポーツを通じてリアルの世界で人と人がつながり、ワクワクするような世界を作ることが大切だと思っている。 スポーツも〝ツール〟である。ボールひとつあるだけで、きっかけが生まれ友達と仲良くなれる。応援しているうちに隣の人と盛り上がった経験をお持ちの方も多いだろう。「する」スポーツにおいても「観る」スポーツにおいても、人とコミュニケーションする「きっかけ装置」としてスポーツは存在すると思っている。そして、デジタルも結局は〝ツール〟である。データの力で、趣味嗜好の近い人たちを何気なく結びつけてくれるのが、デジタルの力。ネットの世界で知り合い、ネットの世界だけでつながっているのが現在の社会だ。しかし、最終的に意識しているのはリアルである。「みんなで一緒に観にきてね」「いろいろな人と仲良くなってね」というメッセージを常に心に抱きながら事業を推進している。日本は今、若年層を中心にどんどんコミュニケーションが希薄化している気がする。スポーツでその社会を少しでも良くできないか。「スポーツはコミュニケーションツール」。この想いでこれからもB.LEAGUEを発展させていきたい。 

稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである

稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである

 

 

「Giant Killing」グロース・マインドセットのお手本

 J1をモデルにしたサッカーリーグの弱小チームとその選手たちが、ユニークな若手監督に率いられる中で大きく成長していくマンガ。テレビドラマのように、各話のつなぎが別アングルから撮影したようなコマ割りになってたり、巻末には次巻の予告シーンだったり、撮影秘話みたいなひとコマが挟まっていたり、TVドラマか映画みたいに、テンポよく引き付けられす。

 純粋に楽しいマンガなのですが、「グロース・マインドセット」という成功心理学のトレーニングを学んだところ、これってまさにGiant Killingのストーリーそのものだたなと思わされたのです。学業・ビジネス・スポーツ・恋愛・人間関係、さまざまなことに応用可能な考え方なので、今回はその観点から、このマンガを紹介したいと思います。

 ちなみにグロース・マインドセットというのは、生まれ持った才能は出発点に過ぎず、ほとんどの基本的な能力は、献身的な努力によって成長しうる、というスタンフォード大学の教授が提唱した学説です。単なるポジティブシンキングではなく、脳生理学的にも、変わること、実現が可能だと思うことで、そのための思考を加速するニューロンがつながっていくそうです。グロース・マインドセットの考え方自体は、その逆であるフィクスト・マインドセットと対比すると分かりやすいです。

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 まさにこれらのグロース・マインドセット的な考えが、Giant Killingの全編を通じて出てきます。

  • 我々はいくつになっても変われる

 万年下位チームが10年ぶりの上位争い。心の立ち位置を容易には変えられないベテラン達も、思い込みが自らの成長を妨げいるかもしれないと気づき、変わろうとする。

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  • 努力が肝心だ

 身長?スピード?自分にないものへの劣等感は当然ある。それでも、できないことは消去法で削ぎ落とし、できることだけを磨く。その先には、大きな可能性がある。

  • 意見されることはありがたい

 時にアドバイスは苦かったり、厳しかったり。それでも、状況をよく理解する人からの意見は、自分が気づけなかったことを理解させ、新たな一歩のための助けになる。 

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  • 目標を高く持つことはいいことだ

 目標の方向性は人それぞれ。そこに、いいも悪いも、貴賤もない。ただ、自分が頑張りたいと思えることを、突き詰められるか。その先にはブレイクスルーがある。

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  • 仲間の成功は学ぶ機会だ

  自分の立場が脅かされるような気がして、問題だと思ってしまう。でも本当は、自分が成長する機会。羨ましさも、悔しさも、OK。どれもやる気につながっているはず。

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 もちろん、相手や状況によって、フィクスト・マインドセットのように考えてしまうことはあるはず。誰でも3つの訓練を通じて、グロース・マインドセットに移行することが出来ると言います。

  1. 新しい方法を、たとえダメでも、やってみる。
  2. 少しずつであっても、自分の進捗を評価する。
  3. お手本、反面教師から、新しいやり方を学ぶ。

  小さなことと思うような事から、やってみよう。

GIANT KILLING(1) (モーニングコミックス)

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中学生と親子で楽しめる小説 7選

 中学生の子供たちと親子で楽しんだ小説をご紹介します。どれも子供向けというわけではなく、すごく面白くてわかりやすい小説であるからこそ、大人も、本好きの中学生も楽しめるものばかりです。

 

 

1.きみの友だち 重松清

  素敵な作品の多い重松清さんの小説の中でも、私と中学生の長女が特に好きな一冊です。正確に言うと、それぞれが買ってしまったので家に二冊あります(笑)。主人公とその周りの子供たち、それぞれが主役となる短編が連なり、ひとつの長編として物語は進みます。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる ― 。

足の不自由な恵美ちゃん病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作小説。

 学校生活。「みんな」と一緒であること。思春期の子ども達は、みんなと一緒であろうと気疲れしたり、そうでない子をいじめたり、はじかれて辛い思いをしたり。いじわるに傷つき、やさしさに触れて大切なことに気づき、少しずつ変化し、成長する。様々な登場人物、それぞれの経験や気持ちの動きが、どこか自分や我が子と重なり、胸がしめつけられ、そして温かくなります。 

 友だち関係のあり方は人それぞれ。でも誰にとっても、友だちとふれあい、過ごした思い出は宝ものです。

 文庫版あとがきで重松さんが語っていますが、連載終盤にめぐりあった体験を踏まえて、最初に用意していた最終章の筋立てを変えたそうです。それはそれは素敵なエンディングでした。是非、多くの大人と、若い人たちに、読んでほしいと思います。

きみの友だち (新潮文庫)

きみの友だち (新潮文庫)

 

 

2.風が強く吹いている 三浦しをん

 娘たちが小学生のころに読破した、最初の大人向け小説だと思います。二人とも小学校6年生だったでしょうか。単行本で500ページのボリュームですが、二人とも夢中で読んでました。大学のあばら家学生寮に住む10人が箱根駅伝を目指すことになる、三浦しをんさんの、笑いあり(すごく多め)、涙あり(意外と多め?)の青春小説です。文庫本もありますが、単行本の表紙が素敵でオススメです。現代絵師の山口晃さんによる大和絵風で、登場人物と決めゼリフ、物語の場面が細かく書き込まれており、読後に見返すと、楽しくなります。

 登場する10人のメンバーが、一人ひとり個性的で、彼らの会話がすごく楽しく、気持ちの動きに心を打たれます。テンポ良く何度もクスリとさせられるやり取り、ハラハラドキドキする練習や試合の展開。大人も子供も、映像を見ているようにポンポン読めてしまいます。

風が強く吹いている

風が強く吹いている

 

 

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

 

3.精霊の守り人 上橋菜穂子

 中1の娘と二人して大いに楽しんだファンタジー小説。18世紀ごろの東南アジア、中央アジアを想起させる架空の世界を舞台に、中年に差し掛かる腕利きの女性用心棒と、政争と精霊に翻弄される王子を主人公とした物語です。

    精霊も出でくるファンタジーですが、文化人類学専攻の筆者が描く世界はリアリティがあり、伝承に部族の想いや知恵を込めた古き歴史時代を思わせます。民族の混血化で文化が変容したり、統一をリードした勝者側に都合よく歴史が改変されたり、産業革命後の帝国が国家経営の手段として膨張を図ったり、全10巻で描かれる社会背景は非常に現実的です。攻める側と守る側、敵味方の攻防という構図は、子供にも大人にも分かりやすく面白く、敵味方が情勢によって入れ替わるあたりはリアルです。

    主人公が30代の中年独身女性、その職業は用心棒、という設定もユニークです。超一流の戦闘能力の持ち主ですが、決してスーパーウーマンではなく、そこまでに至る過酷な身の上を思えば納得させられます。彼女が時に見せる母性や愛情が、物語に温かみももたらしています。もう一人の主人公である王子は、精霊とのハードな絡みに加えて、多国間のシビアな政争に巻き込まれ、翻弄されながらも、たくましく成長していきます。民族性が反映された各国王家の戦略の違い、同じ王家内でも立場を踏まえた王族達の考え方の違いは、物語に面白さと奥行きを与えています。

    第1巻の解説で恩田陸さんが、作家が異世界ファンタジーを書きたくなる理由を綴っています。「自分の存在する世界を、異世界という縮図で理解したい、描きたい、自分のものにしたい、という意識があるような気がする。」文化人類学者として、世界の秩序を俯瞰したい、理解したい、自分なりの言葉で解明したかったのではないかと。本書はまさに異世界を舞台としながら、読み手にどう生きるかのリアルなメッセージを届ける、素晴らしい物語です。

    子供と親、どちらも夢中になれますので、一緒に、存分に楽しんでください。

 

4.図書館戦争 有川浩

  本好きの中3の長女と一緒に、イッキ読みしたシリーズ。「図書館の自由が侵される時、われわれは団結して、あくまで自由を守る。」このクールな宣言は、現実の図書館法内の条文。これにインスパイアされた物語です。本の検閲を巡って図書館で戦闘が繰り広げられる、その点ではあり得ない世界なのでジャンルとしてはSF、すこぶるリアルな社会派風の設定と展開、同時に進むベタなラブコメ、というユニークさです。痛快な展開とは裏腹に、法律用語を含む難解な言葉も多用されるので、読書が得意な中学生、もしくは高校生ぐらいからがおすすめです。

   本の検閲を巡って図書館内外で銃器を使った戦闘が頻繁に発生するという「ありえない」世界において、それが必要とされるに至った政治的、社会的背景や、図書隊と呼ばれる武装機関の組織形体、階級制度などが丁寧に作り込まれています。自衛隊を舞台とする小説を多数書かれている有川浩さんの深い知見が、説得力をますために大いに活かされています。

  主人公の女性隊員と男性教員の「デコボココンビ」は、全巻を通じて掛け合いで楽しませます。途中からちょいちょい放り込まれるベタなラブコメも、登場人物に十分な思い入れができた後なので、先を楽しみに見守りたくなりました。登場するキャラクターはみな丁寧に描かれ、どこかしら理解できてしまう深みがあります。

  著者自身が本書をライトノベルと評しているように、テンポがよくマンガ的、若者向けな感もある一方、「表現の自由」へのプライド、出版界に横行する自主規制への異議、そういった著者の思いは、大人も感動させます。軽さと硬さあわせ持った、中高生から大人まで楽しめるエンターテイメントです。

図書館戦争シリーズ 文庫 全6巻完結セット (角川文庫)

図書館戦争シリーズ 文庫 全6巻完結セット (角川文庫)

  • 作者: 有川浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/09/08
  • メディア: 文庫
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5.一瞬の風になれ 佐藤多香子

 高校陸上部を舞台にした、とてもさわやかで、胸を熱くさせる青春小説。サッカー選手の夢破れ、得意の足をいかして陸上部で短距離走選手となった主人公が、天性のスプリンターである親友、部活の仲間たちやライバルと、切磋琢磨する成長物語。40代が読み返したくなる。中2が先生とこの本で盛り上がる。小6が初めて長編小説を読破する。何歳になっても、何歳で読んでも、好きなことを一生懸命に努力して磨き、真摯に仲間と向き合っていい影響を与え合う、そういう大切なことを思い出させてくれる素晴らしい本です。

 不器用ながらも才能を秘める主人公、素質を輝かせながらも壁にぶつかる兄や迷える親友、才能に憧れつつ懸命に努力する陽気な部活仲間、頼もしかったり面倒だったりする先輩、後輩、気になる女子部員や立ちはだかるライバルなど。登場人物がみんな素敵です。

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)

 

 

6.マスカレードホテル 東野圭吾

 推理小説は、子供には刺激が強いと思われるかもしれません。私自身、子供が自分でこの本を選ぶまで、東野圭吾さんの小説を読んだことがありませんでした。読了後に思い出させてくれたのは、自分が中学生だった頃、赤川次郎さんの三毛猫ホームズシリーズやアガサ•クリスティーの推理小説を読みまくったこと。あれらの名作と共通しているのは、事件そのものの描写以上に、魅力的な登場人物たちとその日常、そして謎解きにページが割かれている点。子供でも楽しく読み進められ、最後にはハラハラドキドキさせてくれます。

 高級ホテルにおける非日常的な日常の事件を楽しく見せつつ、最後には一気に本筋の事件が進んでいくストーリー展開は、一冊で二度おいしい、とでも言えましょうか。続編や映画版が見たくなること請けあいです。

 

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

 

 

7.バッテリー あさのあつこ

 主人公は、中学生になったばかりの少年で、天性のピッチャー。突出したピッチングの才能と、馴れ合わない尖った性格の持ち主である彼と、彼の周囲の人たち、バッテリーを組むことになるパートナー、チームメイトや監督、ライバル、弟たちの、人間としての成長を描く物語です。

 スポーツ物語だとすると、この物語の主人公の巧は、ピッチャーとしての才能はあまりに突出しています。サッカーなら、「キャプテン翼」のつばさ君がどれほどすごくても、チームとしてはいくらでもバランスが取れます。しかし少年野球のピッチャーがつばさ君レベルだと、スポーツの試合としては圧倒的になってしまいます。「バッテリー」は、野球というスポーツが舞台となっていますが、むしろ登場人物たちが、人として、傷つきながら、もがきながらも、少しずつ成長していく姿を描いた物語だと感じました。ゆえに、野球など全く知らない中1の娘が、夢中になって読み進めたのかなと。

 あまりに面白いので、読み終わった後、「続編はないのか!?」と騒いでいました。調べてみると、ありました。巧ではなく、別の人物が中心となって話が進むため、続編ではなく、スピンオフだ、という見方もあります。私としては、登場人物たちの、その後の成長がしっかり描かれていて、とても楽しく読めた続編でありました。

 

バッテリー (角川文庫)

バッテリー (角川文庫)

 

 

ラスト・イニング (角川文庫)

ラスト・イニング (角川文庫)

 

 

 

 

「EQ 2.0」感情はコントロール出来る

 自分の中に巻き起こる感情。ネガティブなものも自在にコントロールできたら悩みが減るのに。そう思って検索して見つけた本です。有名な、ダニエル・ゴールドマン著「EQ 」の現代版で、初めての人でも、この「EQ 2.0」から読めばいいと思います。EQは「心の知能指数」と紹介されますが、本書は心に関する4つの力を伸ばすためのアドバイスになります。具体的には、自分の心の動きに気づき、上手にコントロールする「自己認識」「自己管理力」。心の動きへの気づきを相手にまで広げ、人間関係をうまくマネージする「社会的認識力」「人間関係能力」。この4つになります。

 この本を読んですぐに、3つの変化を感じることができました。まず「感情に囚われる」ことが減りました。これって結構すごいことですよね。幸せなことばかりならいいですが、暮らしていれば当然、悲しみ、怒り、恐れや後悔といった感情は起きてきます。それを無理にポジティブ変換するのはしんどいし、大抵はその感情に自分を委ねて悶々としてしまいます。本書を読んで、「あ、今そういう感情が湧いてるな」と気づきやすくなりました。そうすると囚われから放たれて、客観的に考えられるようになります。

 次に、人の「心の動き」に意識を向けるようになりました。相手の表情や、会話の間にいつもより注意を払ってみる。すると、「こっちの話についてこれてないな」と気付くことが出来て、話し方をスローダウンしようと思えたり、「相手は怒ってるんだな」という事実を落ち着いて認識すると、言葉尻に反射してカッとなることも、少しは防げます。自分の感情のままに話すのではなく、相手の感情を意識して話すようにすると、当然ですがより良く聞いてもらえるようになります。

 最後は、自分への意見や出来事に対する捉え方です。いわれのない「非難」としか感じられなかったことも、「フィードバック」として一理あると気付いたり。全ての出会いには学ぶ機会があると思えば、落ち着くことができたり。これらも、最初は「ありえない」とムカッ腹を立てていましたが、そういう考え方があることを知って、意識するようにすると、初めて冷静に受け入れられる部分がある(もちろん全部じゃないです)ことに思いがいたるようになりました。

 地頭の回転の良さを示すIQ、陽気さや落ち着きなどの個性、これらが生涯変わらないのに対して、EQはトレーニングをすれば伸びるといいます。本書を読んで意識するようになってからの変化が起きる速さから、それは実感できます。EQスキルには、「自己認識」「自己管理力」「社会的認識力」「人間関係能力」の4つがあります。本書には、アプレーザルテスト、と呼ばれるWEBテストの暗号キーが付いていて2回受験することができ、自分の機会をスコアで示してくれるとともに、本書の中で紹介されている多くのテクニックのうち、特におすすめの3つを指定してくれます。

  

最後に、本書で紹介されている、4つのEQスキルを磨くテクニックの一部を紹介します。

 

<自己認識>

5. あなたの感情ボタンを押す人やものを知る

 誰にでも感情のボタンがある。そこに触れられると「ムカつく」「引き金」とも言える。

 自分の感情ボタンを押すのは誰か、そしてどのように押すのかを知ることは、状況をコントロールし、落ち着きを保ち、冷静さを取り戻すのに欠かせない。

 どんな人やものが自分の感情ボタンを押すかがはっきりとわかれば、その人やものへの対応が少し楽になる。不意を突かれることも少なくなる。

11. 自分の価値観に立ち返る

 忙しい時間を少し割いて自分を顧みて、信条と価値観を書き出してほしい。自分の人生の道しるべになる価値観は何か、自問してみよう。紙の真ん中に線を引いて、左側に自分の価値観と信条を、右側に最近の言動で後悔していることを書き入れよう。自分の言動と価値観は一致しているか。一致していないなら、どんな言動なら誇りに思えるか、後悔しないか、考えてみよう。

14. フィードバックを求める

 自分が思っている自分と、他人から見た自分はまったく違っていることも多い。自己イメージと、他人が考える自分のイメージの溝を理解することが、自己認識を深めるヒントになる。

 客観的に自分を知るには、心を開いて他者からフィードバックを受けるしかない。友達、同僚、家族など、他人が自分を本心でどう思っているかを知ると、目からウロコが落ちるかもしれない。勇気を振り絞って、他人から自分をどう見ているかを知ることで、ひと握りの人にしか到達できない高いレベルの自己認識に到達することができる。

 

<自己管理力>

15. あなたが出会うすべての人から学ぶ

<社会的認識力>

1. 挨拶するときに相手の名前を呼ぶ

2. ボディーランゲージを観察する

3. 正しいタイミングを見計らう

8. 今に集中する

<人間関係能力>

2. 自分なりの自然なコミュニケーションのスタイルを磨く

3. 相手を混乱させない

5. フィードバックを素直に受け止める

8. 怒るときには意図的に

10. 相手の気持ちを認める

11. 相手の感情や状況を補う

12. 気にかけていることを、行動で示す

13. 決定の理由を説明する

16. ちぐはくな会話を修復する

17. 厳しい対話を交わす

 

EQ 2.0 (「心の知能指数」を高める66のテクニック)

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  • 作者: トラヴィス・ブラッドベリー,ジーン・グリーブス,関美和
  • 出版社/メーカー: サンガ
  • 発売日: 2019/02/25
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