「EQ 2.0」感情はコントロール出来る

  感情をコントロールする。幸せも心の産物だとすれば、感情を自在にコントロールできたら悩みも減るよなー、そう思って検索して見つけたのが「EQ 2.0 」でした。ダニエル・ゴールドマンの「EQ 」の現代版で、初めての人でも「EQ 2.0」がおすすめです。EQは「心の知能指数」とよく紹介されますが、自分と他人の心の動きに気づき、それを理解する力。そして、その気づきを使って自分の行動や人間関係をうまくマネージする力です。

 この本を読んですぐに、3つの変化を感じることができました。まず「感情に囚われる」ことが減りました。これって結構すごいことですよね。幸せなことばかりならいいですが、暮らしていれば当然、悲しみ、怒り、恐れや後悔といった感情は起きてきます。それを無理にポジティブ変換するのはしんどいし、大抵はその感情に自分を委ねて悶々としてしまいます。本書を読んで、「あ、今そういう感情が湧いてるな」と気づきやすくなりました。そうすると囚われから放たれて、客観的に考えられるようになります。

 次に、人の「心の動き」に意識を向けるようになりました。相手の表情や、会話の間にいつもより注意を払ってみる。すると、「こっちの話についてこれてないな」と気付くことが出来て、話し方をスローダウンしようと思えたり、「相手は怒ってるんだな」という事実を落ち着いて認識すると、言葉尻に反射してカッとなることも、少しは防げます。自分の感情のままに話すのではなく、相手の感情を意識して話すようにすると、当然ですがより良く聞いてもらえるようになります。

 最後は、自分への意見や出来事に対する捉え方です。いわれのない「非難」としか感じられなかったことも、「フィードバック」として一理あると気付いたり。全ての出会いには学ぶ機会があると思えば、落ち着くことができたり。これらも、最初は「ありえない」とムカッ腹を立てていましたが、そういう考え方があることを知って、意識するようにすると、初めて冷静に受け入れられる部分がある(もちろん全部じゃないです)ことに思いがいたるようになりました。

 地頭の回転の良さを示すIQ、陽気さや落ち着きなどの個性、これらが生涯変わらないのに対して、EQはトレーニングをすれば伸びるといいます。本書を読んで意識するようになってからの変化が起きる速さから、それは実感できます。EQスキルには、「自己認識」「自己管理力」「社会的認識力」「人間関係能力」の4つがあります。本書には、アプレーザルテスト、と呼ばれるWEBテストの暗号キーが付いていて2回受験することができ、自分の機会をスコアで示してくれるとともに、本書の中で紹介されている多くのテクニックのうち、特におすすめの3つを指定してくれます。

  

最後に、本書で紹介されている、4つのEQスキルを磨くテクニックの一部を紹介します。

 

<自己認識>

5. あなたの感情ボタンを押す人やものを知る

11. 自分の価値観に立ち返る

14. フィードバックを求める

<自己管理力>

15. あなたが出会うすべての人から学ぶ

<社会的認識力>

1. 挨拶するときに相手の名前を呼ぶ

2. ボディーランゲージを観察する

3. 正しいタイミングを見計らう

8. 今に集中する

<人間関係能力>

2. 自分なりの自然なコミュニケーションのスタイルを磨く

3. 相手を混乱させない

5. フィードバックを素直に受け止める

8. 怒るときには意図的に

10. 相手の気持ちを認める

11. 相手の感情や状況を補う

12. 気にかけていることを、行動で示す

13. 決定の理由を説明する

16. ちぐはくな会話を修復する

17. 厳しい対話を交わす

 

 

EQ 2.0 (「心の知能指数」を高める66のテクニック)

EQ 2.0 (「心の知能指数」を高める66のテクニック)

  • 作者: トラヴィス・ブラッドベリー,ジーン・グリーブス,関美和
  • 出版社/メーカー: サンガ
  • 発売日: 2019/02/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

39. プリズナー・トレーニング 本当に必要な、誰でも継続できる、自重トレーニング

   表紙と日本語タイトルがちょっと奇をてらってますが、中身は「本当に必要な」肉体強化を、「誰でも継続できる」合理的な手順で進められる、とてもよくできた教本です。

 見せるために一部の筋肉だけをマシントレーニングでサイズアップさせても、見た目はカッコよくても身体能力は必ずしも上がらないと言います。考えたら当然で、マシンでの動きって、日常生活やスポーツではありえません。体を自在に操るための筋肉をバランスよく鍛え、体を支える腱と関節も負荷に耐えられるように鍛えれば、身体能力が上がるというのは、言われてみればそのはずです。

 腱や関節は、筋肉よりも遅れて強化されるので無理をすると痛めやすく、トレーニングを途中で挫折する原因になりがち。本書では6つの箇所を10ステップに分け、しかも3段階の負荷でステップアップしていきます。これは、ケガを避けるためにも合理的なんですが、6×10×3に細分化された段階を、クリアしていくのが楽しい!人って、レベルアップとかコレクションを楽しむ修正があるので、それが目に見えるのって楽しく、続けたくなります。

 

 このメソッド、下記の6つのメリットがあると書かれています。

 

  1. 自重力トレーニングは器具をほとんど必要としない。唯一必要になるのは、ぶら下がる場所。階段、公園の鉄棒など。器具や設備が不要なので、保管すべきもの、場所を占拠するものがない。ジムのように特定の場所に縛られないので、休暇中だったり、出張中だったり、職場にいたりしてもトレーニングできる。
  2. 自重力トレーニングは自分の体をコントロールし、動かす能力を身につけられる。走ったり、戦ったりする時の脚には、胴体の重さを支える筋力が求められる。背中と腕には、相手を持ち上げたり、押しのけたりするパワーが求められる。時間をかけてボディビルの練習をすれば重量があるウエイトを持ち上げる動作には秀でてくるだろうが、自分の体を動かすという運動が持つ主目的を無視している。重くなりすぎた体は軽々と動かせない。キャリステニクスは、本質的に、自由に動く体を手に入れるためのトレーニングだ。
  3. 自重力トレーニングは筋力を最大化する。個々の筋肉や筋肉の一部を鍛えるのではなく、筋肉、腱、関節、神経系を統合されたひとつの単位として動作させるからだ。その結果、筋肉にとどまらず、腱、関節、神経系を同時に鍛えることになる。 キャリステニクスの動作は、関節と腱を鍛えるものなので、ウエイトトレーニングで開発できるものより大きなパワーを手にすることになる。
  4. 自重力トレーニングは、関節を保護し、より強いものにする。現代的な筋力トレーニングの大きな問題のひとつが、関節へのダメージだ。関節は、腱、筋膜、靭帯、滑液包など、繊細で柔らかい組織によって支えられている。これらの組織は、どれだけ重いウエイトを上げても開発されない。損ないやすいのは、手首、肘、膝、下背部、股関節、菱形筋、脊柱、および首の関節だ。特に肩はボディビルディングの動作によって損傷を受けやすい。
  5. 自重力トレーニングは完璧な体を開発する。キャリステニクスは、厚切りの筋肉を骨組みに詰め込み、体を理想的に発達させる。しかも、最短ルートで。身にまとうのは、ボディビルダーのようなゴリラコスチュームではない。ギリシャの神々のモデルとなったアスリートたちがまとった、自然で健康的で美しいプロポーションだ。
  6. 自重力トレーニングは、あなたの体脂肪レベルを正常化し調整する。ウエイトトレーニングと過食は手をつないでいる。キャリステニクスを始めると、逆の力学が働く。片手懸垂は、自分の体重を意識しない限り達成できない。キャリステニクスの動作のほとんどは、自分の体を持ち上げることにある。太っているほど、それは難しくなる。そのため、キャリステニクスを練習するようになると、体重を減らすことでトレーニングが容易になることを潜在意識的に理解する。食欲と食生活を自動的に調整するようになるのだ。

 

 具体的なトレーニングメソッドは、下記の6つの動作それぞれにおいて、10のステップを、3段階の負荷に分けられたエクササイズで構成されます。

  1. プッシュアップ(腕立て伏せ系)
  2. スクワット(スクワット系)
  3. プルアップ(懸垂系)
  4. レッグレイズ(腿上げ系)
  5. ブリッジ(ブリッジ系)
  6. ハンドスタンド・プッシュアップ(逆立ち腕立て伏せ系)

 初心者は、第一ステップを、最小の負荷から始められるように設計されているので、筋トレに縁のない人でも取り組むことができます。あるステップを習得し、次のステップに進む用意ができているかどうかは、それぞれのステップにおける「上級者の標準」と呼ばれる負荷(セット数)をこなせるようになったかで、自ら判断することができます。

 プロセスを進める中で、健康的な体と心理的な満足感も得られますが、それ以上にステップに従うことが大切なのは、早く進みすぎると、未熟なフォーム、ケガ、モチベーションの喪失つながるからです。筋肉よりも腱と関節の方が成長に時間がかるので、実力以上に負荷のキツいセット数を一度はこなすことが出来ても、肩や膝を痛めてしまうことがよくあります。トレーニー(トレーニングをする人)自身が自らのコーチとなってステップアップ出来るよう、非常によく考えられていると思います。

 

 最後には効果的にトレーニングを進めるための、レベル別メニューも用意されています。最初はブリッジや逆立ちは難しいので、他の4つの動作を鍛えることから推奨してくれています。下記は私が取り組み始めたメニュー例です。

  • 月曜 レッグレイズ
  • 火曜 プルアップ
  • 水曜 スクワット
  • 木曜 プッシュアップ、レッグレイズ
  • 金曜 休み
  • 土曜 プルアップ
  • 日曜 プッシュアップ、スクワット

私は182cmですが、夕食後の体重、体脂肪、骨格筋率、基礎代謝推移も記録していきます。

  • 8月11日 75.7kg, 19.0%, 36.2%, 1735kcal
プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

 

 

38. 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください! (お父さんも本当に理解できました)

 5-6時間で中学数学が終わってしまう。ウラ表紙の触れ込みです。実際に4時間ほどで読み終えました。あと1-2時間かけて復習したら、すなわち通算5-6時間の読書で、オモテ表紙の触れ込みどおり、誰かに教えられるほど理解できるかも。そう思わせるほどの、看板に偽りなしの本ですね。

 難しいことを分かりやすく教えるのが本当に頭のいい人だとすると、この西成活裕教授は、本当にスゴイ先生です。下記の目次に沿って、数学を勉強する理由、数学が5-6時間で学べてしまう理由を、しっかりかみ砕いて、読者の理解を促したうえで、中学数学、ひいてはすべての数学の基本となる「二次方程式」と、それをベースにした「関数」および「図形」の理解の仕方を教えてくれます。

  1. なぜ、私たちは数学を勉強するのか?
  2. 中学数学を最速・最短で学ぶ!
  3. いきなり!中学数学の頂点「二次方程式」をマスターする!!
  4. サクッと理解!中学数学の「関数」をマスターする!!
  5. 余裕で!中学数学の「図形」をマスターする!!
  6. <特別授業>数学の最高峰「微分・積分」を体験してみる!!

 論理的思考。ロジカル・シンキング。目の前で起きている問題の意味を理解して、論理的に考えること。そのロジックを、言語で書いたのが国語、記号で書いたのが数学というだけだと著者は言います。数学に大事なのは「ゆっくり考えるスローな思考」。いわゆる頭のよさとは、「思考体力」があること、数学はそれを鍛えるのに有効だ、ということです。

思考体力とは、①自己駆動力、②多段思考力、③疑い力、④大局力、⑤場合分け力、⑥ジャンプ力。健康な肉体を維持、強化するためにトレーニングが必要なのは誰にでも明らか。明晰な思考を維持、強化するために、思考体力を鍛えられる数学、それも基礎の中学数学を理解することが大人にとっても有効なのは、納得がいきます。

 ウラ表紙にはR16指定、中学生は決して読まないでください、と書いてあります。本屋の店頭で注意をひくためのキャッチコピーだと思っていましたが、著者のあとがきを読むに、教科書をコツコツと勉強しなくなってしまうのはマズいし、苦労していろいろ学んだあとに、「実はこのコツだけ押さえておけばよかった!」と気づくことが出来れば、理解もグッと深まるからだそうです。

 そういう意味では、中1の次女には早いですが、高校受験の夏を迎える中3の長女には、一度読ませてみようと思います。

 

東大の先生!  文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!

東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!

 

 

36. きみの友だち 重松清 中学生も大人も楽しい小説

  素敵な作品の多い重松清さんの小説の中でも、私と中学生の長女が特に好きな一冊です。正確に言うと、それぞれが買ってしまったので家に二冊ありますが。短編が連なってゆるやかな長編をかたちづくる、短編連作という形式がとられています。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる ― 。

足の不自由な恵美ちゃん病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作小説。

 学校生活。「みんな」と一緒であること。思春期の多くの子達にとって、いや大人になってからもそうかもしれませんが、みんなと一緒であることをすごく重視して気疲れしたり、そうでない子をいじめたり、一緒じゃないからとはじかれてしまって辛い思いをしたり。いじわるにあって傷つき、やさしさに触れて気づき、少しずつ変わったり、成長していく。いろんな個性のある登場人物の、経験や気持ちが、どこか一部で自分や娘と重なるところがあって、胸がしめつけられたり、温かい気持ちになったりします。 

 友だちとの関係のあり方は人それぞれ、千差万別だと思います。でも誰にとっても、友だち、友だちとのふれあい、過ごした思い出は宝ものですよね。

 文庫版のためのあとがきで重松さんが語っていますが、連載が終盤に差しかかった時にめぐりあった体験を踏まえて、最初に用意していた最終章の筋立てをやめて、「ある種のグランドフィナーレ的な閉じ方」に変えたそうです。重松さんが、『きみの友だち』は個人的にとても大切な存在になった作品であるといい、書き手が覚悟をもって選び取った場面や言葉で閉じられることは、お話しにとって何より幸せなことであるというエンディングは、それはそれは素敵なでした。是非、多くの大人と、若い人たちに、読んでほしいと思います。

きみの友だち (新潮文庫)

きみの友だち (新潮文庫)

 

 

35. テレンス・コンラン流 インテリアの基本 心地よい家を作る要素

   副題にある通り、「シンプルで美しい暮らしのための3つのエッセンス」を、素晴らしい写真集のような豊富な事例で紹介してくれます。

「無駄なく」 Plain  ありのままの素材、すっきりとしたフォルム、魅力を高めるどころか不鮮明にしてしまうような、過度な装飾が一切ないという特徴を表しています。

「シンプル 」Simple  使い勝手がよく、自然な喜びを感じさせる、という2つの特徴を表します。自然な喜びとは、休日や休暇に出かけたときに感じる喜びで、たとえば窓から降り注ぐ太陽の光、足で踏んだときのカーペットの感触、または安らぎや静けさの中などにも見出せるものです。

「実用的 」Useful  真の意味で「機能的である」ことです。それは機能過多で使いづらい電子機器や電化製品のことではなく、たとえばちょうどよい高さの椅子や、身体を最適に支えてくれるベッドなどを表します。

  テレンス・コンラン卿はインテリアデザイナー等として長年にわたり活躍してきたイギリス人。イギリスをはじめとするヨーロッパでは古い建物もモダンと融合させて長年使われています。本書で紹介されるエッセンスも、不変ではなくとも普遍的で、10年や20年の流行り廃りで左右されるものではないと感じます。じっくり時間をかけて心地よく暮らすための家を作り上げるための、座右の書になると思います。

 3つのエッセンスを全体を通した柱としながら、家を6つの空間に分けて、具体的なアドバイスを写真とともに説明してくれています。

  1. 料理のための空間
  2. 食事のための空間
  3. くつろぐための空間
  4. 仕事のための空間
  5. 眠るための空間
  6. 入浴するための空間

 

テレンス・コンラン流 インテリアの基本

テレンス・コンラン流 インテリアの基本

 

 

34. 風が強く吹いている 三浦しをん 親子で楽しい小説

 娘たちが小学生のころに読破した、最初の大人向け小説だと思います。二人とも小学校6年生のだったでしょうか。単行本で500ページのボリュームですが、二人とも夢中で読んでました。大学のあばら家学生寮に住む10人が箱根駅伝を目指すことになる、三浦しをんさんの、笑いあり(すごく多め)、涙あり(意外と多め?)の青春小説です。文庫本にもなっていますが、単行本の表紙が素敵でオススメです。現代絵師として有名な山口晃さんによる大和絵風で、登場人物と決めゼリフ、物語の場面が細かく書き込まれており、読後に見返すと、楽しくなっちゃいますよ。

 登場する10人のメンバーが、一人ひとり個性的で、彼らの会話、気持ちがすごく楽しく、心を打たれます。テンポが良く何度もクスリとしてしまう会話、ハラハラドキドキする練習や試合の展開。大人も子供も、映像を見ているようにポンポン読めてしまいます。

風が強く吹いている

風が強く吹いている

 

 

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

 

33. Baby Step 勝木光 親子で楽しめ、テニス上達にも

 主人公が高校からテニスを始めてプロを目指す、成長物語。テニスの戦術やトレーニング方法などはとことんリアル。主人公は、身体能力は普通ながらも、ラリーやポイント全てをノートに記入し、学びを蓄積して着実に成長していくユニークなキャラ。今はやりのSHOWROOM社長、前田裕二さんの「メモの魔力」みたいですね。

 ヒロインや登場人物も魅力的で、親子、性別を問わず楽しめるマンガです。

「学校の成績はガキの頃からオールA、献身的な委員会活動に先生のお気に入りでクソ真面目、まさにレールの上の人生だ」と親友から揶揄された主人公。さらに重ねて言われます。

お前それで楽しいの?

お前の人生それで満足なわけ!?

    いま頑張っていることが楽しいのかどうか。シンプルなこの質問を、真剣にに考える機会を得ます。そして始めたテニスが、彼にとって心から楽しく、夢中になって努力できるものとなり、物語が進んでいきます。

 スポーツマンガとしてすごく面白いですが、テニス上達のレッスン書として読むことも可能です。ジュニア選手時代の前半は、上級者以外にも参考になります。ジュニアトップ、プロとして上を目指す後半も、メンタル、気持ちの持ち方などでテニス以外にも通じる素晴らしさがあります。そのような箇所をまとめてみました。

 

<フォアハンドストローク>

ボールを追い返さないで迎えに行く。

逃げ腰で手だけでラケットだけを振り回してもダメ。浅ければ自分から球に近づくことで体重を乗せて、深ければあわてずにしっかり呼び込んで、頭をブラさずに腰の回転を使って球を打つこと。

①グッと構えて、②サッと引いて、③「スパーン」のリズムで打つ。

打点は左足よりちょっと前、腰の回転と体重移動の力で、ボールの後ろをこすり上げるようにスイング。力んで腕で振らない。ラケットから手首、腕までをゆったりムチのように使う。

キミがこの4ヶ月で体得したストロークの基本

その打点を変えるだけで、キミはもう全ての場所にコントロールして打つことができるはずなんだ

ニュートラルな打点がコートの中心を狙うためのものだとすると、打点を変えることで、飛ぶ場所が変わる。左前に打つには、体に近い前寄りの打点で。右奥に打つには、体から遠い後ろ寄りの打点で。つまりこういうこと。あわてると打点が前になってしまう。

ããã¹ããã©ã¢ãã³ã ã³ã³ãã­ã¼ã«

1/100にラケットを合わせるには、とにかく追いついて止まってタイミングよく打たなきゃ…まずは一歩でも早く打点に!

とにかく追いつく!! 打点がブレないように止まる!! タイミングよく打つ!!

正確に打点を捕らえるには、やみくもにダッシュすればいいってわけじゃない。重要なのは最後の右足。球に近づけたら、小さいステップで歩幅を調整、右足がタイミングよく正確な場所に入れば、自然に打点が決まる!!

 ボールがどこに来るかを正確に予測して打点に入る。深くてもあわてずにボールが打点まで来るのを待って、タイミングよく打つ。

 フォアハンドストロークは一番多く打つショットですが、テニス歴が長くても、我流になっていて最適な打点で捉えられていないことも。主人公は初心者の頃にひたすら壁打ちをしていますが、壁打ちは一番力が伝わる打点を見つけるのにいいです。その打点を、自分のニュートラルな打点として見極めると、9箇所の打ち分けがしやすくなります。相手のある生きた球を打つ時はリズムが変わることは気をつけて。

ジャプショット

ジャンプショットは空中でスイングするわけだから、腰の回転、つまり体幹が重要になるからな。コツは、身体をコンパクトに捻って、その力を空中の一番高いところで一気に解放させる。スイングは小さく強くだ。

あとは意外に気持ちが大事。とにかく思い切って行け!

 ちょっとでも浅くなったら迷わず、など打つべき時を定めて思い切って。チャンスボールは、すなわちゆるいボールなのであわてて突っ込まなくても打点に入る時間は十分にあるはず。落ち着いて、頭を突っ込まずに体のバランスを維持して詰めて、腰の回転でしっかり仕留める。

フォアのスライス

 攻め込まれてギリギリでしのぐ時に使われることが多いですが、主人公は、打つタイミングやコントロール次第では相手を崩す武器になるかもと思って、磨きをかけます。

その球威ならもっと正確にコントロールしないと使えないな。もっと球を一度キャッチしてから目指す方向へリリースするイメージだよ。

f:id:businesspapa:20190525235006p:plain

<ストローク強化のための体力トレーニング>

ストローク力をアップするとその分コントロールはブレる。コントロールを安定させるためには何より下半身の強化が必要。そのために朝のランニングを30分延長して、ストップ&ダッシュを多めに入れるようにした。

ストロークは主に腰の回転運動で打つんだよ。だから根本的なストローク力を上げたいなら、腰、つまり身体の中心にあるインナーマッスルとかコアマッスルって言われる筋肉を鍛えなきゃならない。

<ラリーの組み立て>

 押されて気味のラリー、もしくは攻撃まではできなくても、ただつなぐだけではなく、しっかりと攻めの意識を持ってしっかり打つことが大切。

ほんの少しだけサイドスピンをかけてみた… 

岡田くんのショットは打点がピンポイントだから、少しの変化でも影響が大きいはず…でも、少しの変化だから影響したかどうかはわからないけど…いや、多分影響した…いや、したはず‼︎

…だとしたら相手のミスでもこっちが積極的にとったポイント。どんな小さなことでも…できることがあれば全部やる!

余裕がある時は、選択肢をもって組み立てる。

  1. ストレートに速いスピン
  2. オープンコートに直球強打
  3. 鋭角クロスでエース狙い

 

f:id:businesspapa:20190525170352p:plain

そして甘い球が返ってくれば、また選択肢が増える。

  1.  ゆるい鋭角クロスで決める。
  2. クロスへ速い直球で決める。
  3. ドロップで決める。
  4. 戻る相手の逆をつく。

f:id:businesspapa:20190525170447p:plain

 相手があまり攻めてこない場合は、こちらもそれほど無理する必要はなくなります。全力で球に追いつきながら即座に勝負を決めにいくより…

一歩後ろに下がって余裕を持ったフットワークで、ミスをしない程度で狙いをつけたコースに、攻め込まれない程度の球威で…

焦らずに勝負を決めにいくタイミングを待つ。例えば相手から仕掛けてきた時に、全力で決めにいく。無理に攻めてきた場合は同時にスキが出来ることも多いので。

<サーブ>

力は方から鞭のようにしなる肘、手首、ラケットを加速させながらさらに上へ、そして一番加速する最高点でインパクト‼

身体は本当の鞭と違って関節しか曲がらないから、その肩に力が入って固くなっちゃダメ。

下半身にたまった力は、間接に力を入れずにできるだけ柔らかくしならせて、鞭みたいにインパクトまで。

セカンドもそのままのイメージで、強めにスピン‼

 腕を早く振り回すことよりも、インパクトで最大限にボールに力を伝えることを意識すると、回転もしっかりかかりつつ、勢いのあるボールが打てる。

リターン

まずはどこに来ても反応できるように両手両足は柔らかく構える…抜けた手足の力は身体の中心に溜めておくイメージ…

その力を助走しながらコンパクトなスイングの過程でラケットに移動させて球にぶつける!

 

とにかく気合いで取ろうとしたら重心が沈んで足が細かく動いた

考えてみりゃ、その方が重心を下げる時間と行く方向を判断してから身体が動くまでの時間を短縮できる

 サーブアンドボレーに対して、高速ショットで正面(ボディ)に打ち、ボレーヤーが反応できる限界を超えることでポイント、優位を奪う方法があります。これはシングルスでもダブルスでも有効かもしれません。

<主人公が目指す練習の心構えと究極のテニス>

大事なのは打った時の感覚と落下地点の認識!!

どこで打てばどこに行くのかをきちんと結びつけ、「確かな1球」として身体に覚えさせるんだ。そうすればキミは、1球1球上達できる。

全ての球に追いつき、それをコントロールできれば

理論的には負けない!!

球を打った時の感覚と、その球がどこに落ちたかという認識

このふたつが備わった確かな1球を打って初めて上達する

この1球の蓄積こそが上達なんだ

ただやみくもに打ってるだけじゃ上達しないんだよ

その点、君は少なくともこのノートを書いている時は1球たりともムダにせず上達に結びつけている

 そのための練習方法としては、下記の2つ。

  1. イメージ練習:前・中・後、右・中・左で分けた9分割の的をイメージし、打ち分けることから始める練習。
  2. 確認練習:打った球の感覚、軌道、落下点を必ず確認するように心がける練習。

<チェンジオブペース>

 アニキは緩急をうまく使えてますね。

 ああ…速い球は打てなくても、早く感じさせることは出来るからな。

 それにスピードとパワーで勝負してくる相手に「チェンジオブペース」は効果的な場合は多い。

 人は一般的に同じペースが続いた方がリズムが取りやすいから、試合もある一定のペースに落ち着きやすい。そこに変化をつけてリズムを奪うんだ。あらゆる休息や球種でいろんなコースにコントロールすることでね。

 丸尾のショットはパワーは並みだがコントロールがよく不得意がない。そういうタイプは「チェンジオブペース」を仕掛けるのに向いてると言っていい。もし丸尾の「チェンジオブペース」がもっとよくなれば、全国の上位でだって十分に戦えるはずだ。

 それは「全ての球に追いつき、それをコントロールできれば負けない」っていう、丸尾が掲げるテニス理論の神髄だからな。

 チェンジオブペースの基本は、あらゆるショットを打つことで、いかに相手にとっていいタイミングで打つ機会を与えず、こっちのペースで攻め続けられるか。臨機応変にショットを選択しながら最終的にはそのすべてが決め球の伏線になるように組み立てる。

お前、チェンジオブペースの時、もう少しコートを広く使ってみたらどうだ?お前はどこにでも打てるコントロールが強みなんだから、深くて強いストロークにこだわりすぎないで、もっと広範囲を狙った方がいいってことだよ。

f:id:businesspapa:20190520000400p:plain

<試合中の心構え、相手との向かい方>

緊張してるのは勝ちたいって強く思ってる証拠。

試合にとっていいことだよ!

だから自分のことより相手のことをよく見よう!

全神経を集中して相手の動きと球の軌道を見る。どんな些細なことも見逃さないように。視点が完全に変わる。

 例えばチャンスボールを相手のバックに打って前に出る。相手のスキルによって打たれるコースは限られてくるので、そこで余裕を持って待つ。

 相手の強打がすごくても、オープンコートに深くコントロールする。深ければ、どんなパワフルなショットでもなかなか決定打にはなりにくい。

 前に出たときの相手のパターンはきっといくつかに絞られる。①スピンで沈めて次を待つ、②高速フラットで決めてくる、③ロブで頭の上を抜く。パターンが認識できれば対応しやすくなる。

打点への意識を半分、もう半分は相手と打つべき方向を意識して…

徹底的に守ったうえで…

攻める時は一撃で…!

 試合では必ず緊張しますし、負けるのは嫌、ミスするのは嫌で、ついつい無難につなぐだけになってしまうことがあります。しかし、置きに行くだけの返球はかえって相手の逆襲にあうだけでなく、そこから流れも作れないし、何より成長しません。攻めて失敗したとしても、修正が出来るし、気づきが得られます。

(攻め続けた結果負けたが)

 今の自分のストロークの限界がわかりました…だから…それは超えなきゃと…

 それでいい。だがそのまま攻め続けると、いつか必ずお前の弱気が顔を出す。守ったほうが楽に勝てると言い訳しながらな…その時は、とにかく自分が超える壁だけをみて何とか弱気を振り払え…苦戦や続くかも知れんが、一度その壁を登るんだ。今までの失点が加点になった時、世界は一変する。攻めた上でのミスこそが上達の種だと…挑戦の証だと誇りに思える時が必ず来る。

 最近の練習では動画の活用も有効。主人公は一流プロと自分を並べて動きを比較し、自分の方が準備が遅くて打った後の反応も鈍いこと、一流プロは打った後がやたらと速いこと、そうしなきゃならない環境で戦ってるを、まざまざと気づかされます。

 打つ前の準備、打った後の動きを早くする。ウィークエンドプレーヤーは、これを意識するだけで試合で大きく違いが出てくるかもしれません。また、ストロークの再確認などに、フェデラーなどのフォームを動画で紹介しているサイトは大いに参考になると思います。

<メンタルのトレーニング、気持ちの持ち方>

 テニスのポイント間は20秒しかない。何を思い出すかは考えてる時間はないよ!あらかじめ思い出す場面を決めておくんだ。

 テニスは精神面が大きく左右するスポーツ。どんな時でも20秒でいい時を鮮明に「思い出す」ことで、ベストの精神状態を作り出せるようになったら試合で有利だとは思わないかい?

  「ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある」という本でも語られることですが、大好きではないことを、様々に理由付けしてヤル気を振り絞るのは、責任ある態度ではないのです。まわりの人の願望を満たすことに一生懸命で、自分自身の夢や願望を忘れてしまう、本当の自分を置き去りにしてしまうことは、人生の途中で自分の魂を見捨ててしまったということですから、もっとも無責任な行為といえます。自分自身に無責任な人は、家族や友人知人、仕事に責任を持つことができません。その人からは、憂うつ、空しさなどが漂い、まわりの人間たちにも伝わってしまうから。

 真剣に目指したプロへの夢を諦めるべく、様々な理由をシミュレーションをし、「これも最善の選択の一つだろ?」と無理に笑顔を浮かべる主人公は、友人から再度問いかけられます。

お前は…それで楽しいの?

 主人公に相談されたコーチは、プロテニス選手として上り調子の時に怪我をした後、それとの付き合い方で失敗した経験から、自分にウソをつくと、自分が自分を信用できなくなってしまう怖さを教えてくれます。少し長いですが、名セリフです。

お前は約束を破ったりウソをつくのが嫌いなタイプだよな?それは何でだよ?

(それは…相手の信用をなくすからですよ)

そうだよな…だとしたら…それは自分に対しても当てはまるんだよ。俺も当時はそれに気付けなかった。今だからわかるんだ。このときの俺は全力で自分にウソをついてた。本当は怪我も怖かったし、リハビリも試合に出られないのも辛かった。そんな弱気なことを考えるのも嫌ですべてを投げ出したくなっていた…だから俺は…そんなこと考えてないことにしたんだ。

「全然平気!むしろこれで精神的に強くなれる」「怪我と付き合っていくのはプロとして当たり前のこと」

 心の底からそう思ってることにしたんだ。そうでもしないとやっていけなかったんだろうな…実際当時はそう思い込んでたんだと思う。

 でもそのうち、本心に嘘をつき続けた影響が出始めた…自分の本心を裏切り続けてると自分の本心がわからなくなってくるんだ。どこまで弱気なのが本心でどこまで強くいうのが本心じゃないのか?感じてることも考えてる事はどれが本当なのか疑わしくなってくるんだ…

 そんな状態が続くと自分では何も判断できなくなってきて、心はいつも不安定になるから他人に流されるようになる。そんな状態でテニスが上手くいくはずがない。

 この後、俺は引退して三浦コーチに拾ってもらうまで、何がしたいのかわからないまま日々を過ごした。それから勉強して資格とってコーチになったわけで…今となってはそれもいい経験だったのかもしれんがな。

 コーチが主人公にこのアドバイスをしたのは、目先の成功のためではなく、この先も主人公が自信をもって生きてほしいからでした。

 あきらめるななんて言わねえよ。プロの厳しさ俺の方が知ってる。ただどんなに辛くても自分の気持ちにウソつくなって言ってんだ。じゃなきゃこの2年半必死にやってきたことも、それを支え続けた熱い思いも、全部がウソに霞んじまう。それだけはしてほしくないんだ。お前がこの先、自信を持って生きていくためにな…

 テニスではないですが、打ち込んできた仕事、会社で限界を感じて転職を考えた時期がありました。ビジネスマンとして尊敬する父親からのアドバイスは、自分がやりつくしたと思って転職するなら全く問題ない。評価とか出世とかを気にして、やけになっているなら踏みとどまった方がいい、というものでした。自分で自分にウソをつくことはできる。ただしその結果は、自分で自分がわからなくなる。そうなったら、人生頑張れないですからね。自分のワクワクを、大切に生きましょう。

 進学するかプロになるか迷う主人公に、同じくプロを目指す彼女が語ります。

そっか…てことはまだ考える時間はあるんだね。じゃあ、今いくら考えても決まらないのは、まだそういう時期じゃないのかもよ?

なんかない?そーゆーこと。ずっと必死に悩んでた事が、ある時ストーンって決まること。

エーちゃんはここまでやることやって来たもん。焦らないで思いっきり悩んだら、きっと自然に…一番ぴったりな選択ができる気がするよ。

ベイビーステップ コミック 全47巻セット

ベイビーステップ コミック 全47巻セット