外資系父ちゃん オススメの本100冊

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「ローマ人の物語1」塩野七生による最高の歴史エッセイスタート

 第一巻は、ローマ建国からイタリア半島統一までの五百年間を取り上げています。定説となっている「史実」を超えて、ローマ人の胸の内や行動原理を、塩野七生さんなりの解釈を添えて描いているので、歴史書ではなく「歴史エッセイ」とご本人が呼んでいます。どんなに正当とされる歴史書でも、著者が生きる社会背景や本人の信条が必ず反映されるもの。ローマ史はヨーロッパで超メジャーな研究題材でしょうが、近代、現代ヨーロッパで書かれた歴史書なら、キリスト教をベースにした宗教観、フランス革命を経た社会観がどうしても反映されてしまう。それゆえに彼女は、キリスト教すらメジャーになる前のローマ時代に書かれた一次資料を読みはじめて、やっとしっくりきたと言います。

 ローマ興隆期に生きた同時代人から見た、ローマ勃興の理由。まず第一に宗教的寛容。第二に王政、貴族政、民主政の長所を活用する柔軟な政治システム。そして第三には、敗者でさえも自分たちと同化する彼らの生き方。知力ではギリシア人に劣り、体力ではケルトやゲルマン人に劣り、技術力ではエトルリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣っていたローマ人が、これらの民族に優れていた点は、古代では異例であったというしかない、これら三つに代表される、彼らの開放的な性向にあったのではないか。こんな魅力的な仮説をテーマに据えて、綿密な資料の検証、史跡の訪問、深い思索と想像力に裏打ちされた物語が、面白くないはずがありません!

 

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

 

 

ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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