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「ローマ人の物語」塩野七生 最高の歴史エッセイ

 綿密な考察に基づく、単行本全15巻からなる歴史エッセイ。学術的資料で裏付けされた「史実」を超えて、ローマ人たちの胸の内、行動原理を、塩野七生さんが想像、推理して描いているので、歴史書ではなく「歴史エッセイ」とご本人が呼んでいます。だからこそ、歴史書以上に面白い。綿密な資料の検証、史跡の訪問、深い思索と想像力に裏打ちされているから、小説にはないリアリティがある。

 単行本全15巻で紡がれる1000年に渡るローマ人の物語のうち、もっとも分厚い二冊が、ユリウス・カエサルにあてられています。もともと塩野さんはユリウス・カエサルを書くためにローマ史を書き始めたと言っているので当然かもしれません。カエサルのパートは、小説を読んでいるかのように心躍り、楽しいのでぜひご一読を。

 「ローマの街角から」という別のエッセイでこのように書かれていました。

歴史のあらわれる戦争を勉強していて痛感するのは、勝った武将はいずれも、自軍のハンディを埋めることなどは考えず、不利を有利に変えることができた人であったという一事だ。マキアヴェッリではないが、司令官に最も必要な資質は想像力なのである。不利をおぎなうだけならば誠実で地道な努力で十分だが、不利を有利に一変させるには、発想の一大転換を求められる以上、想像力しかないのだ。

 なにも大事を成すときだけでなく、不利を有利に一変させるために発想の一大転換が求められるとき、Game Changeしたいときというのは、誰にでもあることでしょう。ローマの誕生、成長、全盛、衰退、滅亡。その間に起きた膨大なエピソードは、そういった気付きを得ようとして読むと、また面白いかもしれません。

 先日上梓されたギリシア人の物語で完結となった塩野さんの歴史エッセイシリーズ全巻は、我が家の本棚を彩る宝物です。

 

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

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ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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