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「FACTFULLNESS」 ハンス・ロスリング データを正しく見る

 正しく判断するためにデータを集める。バイアス、思い込みを持たずにデータを見る。状況を正しく理解するために適切にデータを分析する。データの活用がビジネスの勝敗を分ける時代、この大事で、難しいことを、大変わかりやすく教えてくれる本です。オバマ元大統領やビル・ゲイツが絶賛したのもうなずけます。

 本書の最初に紹介されたチャートの引っ掛けは、人が本能的に思い込みに囚われやすいことを実感として気づかせてくれます。「「発展途上国」では母親が生む子供の数は多く、子供が乳幼児期に死ぬ確率は高い」。わかりやすく構図を説明した下記バブルチャートは、いたって常識的で、私もあっさり引っ掛かってしまいました。

 実は上図は1965年のもので、2017年には下図のように全く構図が変わっているのです。中国とインドという二大人口大国を表している2つの大きな円だけでなく、ほとんどの円が「先進国」と括った枠に入っているんです。

 自分が小学生の頃の知識のままで「発展途上国」は今でも出産数が多く、幼児の死亡率が高いと思い込んでいました。これは、「世界は分断されている」、自分たちと「あの人たち」は違う、そのように思い込みがちな「分断本能」を人が持っているからだそうです。この本はそのような10の思い込みの存在を教え、そこから自由になる手助けをしてくれます。さらに、代わりにより良く状況を理解するためのデータの見方も教えてくれます。例えば、先進国と発展途上国、という分断、もしくは分類がもはやほとんど意味を持たないとすれば、どうすればいいのか。

 まず、世界を2つに分けることをやめよう。もはやそうする意味はない。世界を正しく理解するのにも、ビジネスチャンスを見つけるのにも、支援すべき最も貧しい人々を見つけるのにも役に立たない。

 しかし、世界を理解するためには何らかの分類方法が欠かせない。古い呼び名と決別するのなら、代わりの呼び名を用意すべきだ。では、どういう呼び名がふさわしいのだろう。

 著者は世界を所得レベルに応じた4グループに分けます。呼び名は単純にレベル1、2、3、4。下記のように、ひとりあたりの1日あたりの所得、2ドル、8ドル、32ドル、3つの線で区切ると、世界人口70億人が下記のように分かれます。

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 「先進国」、「発展途上国」という分け方は文字通り国ごとの分類ですが、現実は、それぞれの国の中に複数の生活水準の人々が暮らしています。例えば中国とアメリカで生活水準が似通っている、と言われても違和感を覚えるでしょう。しかし、中国とアメリカのレベル4の人たちの寝室、移動手段を比べればほぼ同じようなものです。同じく、アフリカとアジアで遠く隔たっていても、レベル1の人たちの水の調達方法、調理方法なども似通っています。「Dollar Street」という、所得レベルごとに生活水準を写真で並べるツールによって、我々の理解を助けてくれます。

www.gapminder.org

 このように、本書は人が本能的に持ちやすい10の思い込みに気づかせて、状況を正しく理解するための適切なデータの見方を教えてくれます。会社でチームとビジネスを進めるうえでも、我が子に適切で広い視野を持ってもらうためにも、大変有益です。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本
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